子どもたちの長を助け、力と成績をばす学習

成 伸 塾

一生懸命取り組む子どもたちのため、子どもたちの成長を願う保護者の方々のため、“本物の教育”を提供します

谷塚中学校で行われた「不公平なテスト」について

 2023年11月、谷塚中学校の3年生2学期期末テストで、不公平なテストが行われたという情報がありました。

 ある学習塾が過去の定期テスト問題をコピーして保管し、過去問として生徒に解かせたところ、家庭科のテストでその過去問と同じ問題が出題されたという経緯だったようです。この問題が発覚したことで、学校側が不公平だと判断し、家庭科のテストはやり直しとなったそうです。


 テスト問題には著作権が存在します。また、教科書の文章や問題集の図・問題などを使用している場合、著作権は問題制作者だけでなく、教科書や問題集の出版社にも関わってきます。しかし、学校のテスト問題を、著作権者に許可を得ることなく無断でコピーする学習塾は非常に多いのが現実です。これは、許可を得ることなく著作物を複製し、著作物の使用料を支払わず「成績を上げる」という営利目的で使用していることからも、紛れもな著作権法に違反する違法行為です。


著作権法 第三十六条 公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。


 今回起こった「不公平なテスト」についてですが、もし学習塾が著作権者である問題制作者に許可を取り、金銭を支払った上でコピーをしていたとすれば、学校では過去問をそのままテストに使用するはずがありませんし、学校側がそのようなミスをしたという説明もなかったそうです。そもそも、学校の定期テストには学校の教科書やワークなどから大量の文章や図などが使用されることが多く、それらはすべて著作物であるため、それらすべてに対して、どの著作物を使用しているかを調査し、すべての著作権者にコピーの許可を取って使用料を支払うというのも非現実的です。そう考えれば、学習塾はテスト問題を無断でコピーし、それを学校や問題制作者が知らずに過去問をそのまま使用したことで不公平なテストとなってしまったということが推測できます。

 著作権を侵害した者は、その内容によって懲役刑・罰金刑が課されます。それとは別に、民事で著作権者が被った損害額の補償必要になるでしょう。しかし著作権法違反は、著作権を侵害された著作権者が被害を訴えることで起訴できる「親告罪」に当たります。著作権者が被害を訴えなければ警察の捜査すら行われません。だからこそ塾業界では、著作権者にばれないように著作権侵害を行う悪習が蔓延しているのです。

 しかし、勘違いしてはいけないのは、起訴できない、裁判にかけることができないというだけで、著作権者が被害を訴えなくても、著作物を著作権者に無断で複製する行為は著作権法に違反する違法行為であるということです。多くの学習塾が行っているテスト問題の無断コピーも、起訴できないというだけで紛れもなく違法行為に該当します。


 多くの学習塾は、なぜここまでして定期テストの問題をコピーするのか。その理由は簡単で、それが定期テスト対策として非常に有用だからです。実際に出題された問題を1つでも多くの学校から回収・分析して対策を練ったり、問題そのものを子どもたちが解いたりすれば、最も簡単かつ効率的にテスト対策ができるのです。これは受験勉強で過去問を解くのと同じ理由です。しかし、受験勉強で過去問を解くとき、学校で過去問を公開・配布していない限り、過去問を購入して解きます。著作物を利用するには本来、著作権者が著作権を放棄しない限りこのように費用がかかります。過去問の場合、出版社が著作権者に許可を取り、使用料を支払っているからこそ、出版社は過去問を販売することができ、我々はそれを購入することで過去問を解くことができるのです。今回の定期テストの問題のコピーのように、学習塾が著作権者に許可を得ずに無断でコピーを行い、それを無断利用してテスト対策をする行為は、無料で著作物を無断使用し、実績を上げることで、「安い学習塾」「成績が上がる学習塾」として宣伝することが目的ではないか、そのために違法行為に手を染めているのではないかと私には感じられます。


 子どもたちや保護者の方々からすると、学習塾がリスクを負ってくれているおかげで安価に効率的なテスト対策ができる、と感じるかもしれません。しかしそれは大きな間違いです。学習塾が学校のテスト問題をコピーするということは、子どもたちがテスト問題を学習塾に提供しているということ。つまり、学習塾の違法行為に子どもたちが加担しているということで、子どもたちは違法行為の共犯者となってしまうのです。最悪の場合、著作権者から被害届が出されれば子どもたちまで罪に問われる可能性もあります。学校のテスト問題を子どもたちに提供させることは、子どもたちも違法行為に巻き込み、大きなリスクを背負わせることになるのです。

 それに加えて、これらの行為を行って成績が上がれば、子どもたちはそれが正しい勉強法であると勘違いしてしまいます。違法な手段で勉強することが正しい勉強法であるはずがないのに、今後もその勉強法を続けることになってしまいます。「ばれなければ悪いことをやっても良い」という間違ったことを子どもたちに教えることにもなってしまいます。このようなことは絶対に教育として許されはいけません。


 そしてもう1つ当塾が問題視しているのは、谷塚中学校の対応です。2023年12月中旬現在、谷塚中学校が過去問を無断でコピーして生徒に解かせていた学習塾や、その学習塾に通っていて不正な恩恵を受けていた生徒に対して、何か行動を起こしたという情報は入っていません。また、子どもたちの間ではどこの学習塾のせいでこのようなことになったのかというのは特定されているようですが、学校側からは学習塾についての情報は公表されていないようです。それどころか、問題を無断でコピーされ正常なテスト実施を妨害された被害者であるはずの学校側が生徒や保護者に謝罪するだけで、違法行為によって「不公平な状況」を作り出し、学校や何の罪もない生徒を巻き込む妨害行為を行った学習塾や生徒が何食わぬ顔でいることは、学校側がその学習塾や生徒を庇っていることに他なりません。

 このままでは、このような行為によって成績を上げようとした学習塾や、その恩恵を今までずっと受けてきた生徒には何の罰も与えることなく、その不正に巻き込まれた無関係な生徒が損をしただけの、「やった者勝ち」になってしまいます。真面目に、一生懸命勉強した子どもたちが一方的に損をしているこの対応は、当塾では到底許すことができません。公平な試験というものは本来、不正行為をした受験者は失格となるものです。それは、北辰テストでも英検・漢検・数検などの検定試験でも、公平性が保たれている試験ならばそのような対応をします。それと同様に考えれば、定期テストを公平に行う場合、不正行為を行った受験者はテストの点数を0点として処理すべきです。それだけでなく、過去にさかのぼって調査し、同様の行為が行われていたテストすべてに対して成績を訂正するところまで行ってようやく「公平」だと言えるでしょう。

 また、当塾では不正行為、違法行為は一切容認しておらず、テスト問題のコピーも一切行っていません。そのような条件で子どもたちの成績を上げようと一生懸命頑張っている当塾と、違法行為によって効率良く成績を上げられる多くの学習塾が比較されてしまえば、当塾は不当な評価をされてしまう恐れがあります。テスト問題を無断コピーした学習塾名と、それが違法行為であるということを公表しなければ、当塾のように不正行為や違法行為を行っていない学習塾が公平に扱われたことにはなりません。


 残念ながら、著作権法違反は著作権者が被害者であるため、当塾がどんなにこの問題を指摘してもあまり意味がありません。また、学校の多忙さは当塾責任者も理解しており、学校に直接クレームを入れるということも考えていません。

 それでも、対応の不十分さや子どもたちに与える悪影響、当塾への不当な評価を考えれば、このまま黙って見過ごすわけにはいきません。当塾では一貫してテスト問題のコピーなどの違法行為は容認しないと掲げており、それを順守しています。そのため、当塾の塾生そのような不正行為、違法行為を一切行っておらず、当塾の自主性を促す指導と塾生の努力によって、成績を上げたい、志望校に合格したいと一生懸命頑張っています。それなのに、何の罪もない当塾の塾生も被害を受けたのです。ましてや今回は、受験直前の中学3年生が家庭科のテスト勉強を再度行わなければならなかったのですから、その被害は非常に大きいものでした。

 当塾は、真面目に一生懸命頑張っている子どもたちの味方です。しかし、当塾のような小規模塾が声を上げても、何も変わらないのかもしれません。それでも、教育を行う立場として、そして一生懸命頑張っている子どもたちの味方として、いけないことはいけないんだという姿勢を明確にします。


ここに、違法行為を行い、子どもたちを違法行為に巻き込んでいる数々の学習塾や、そのような学習塾にお子様を通わせている保護者、成績のために違法行為に加担して不正を行っている生徒に対して厳重に抗議し、谷塚中学校の対応への不満を表明します。


 もし、この問題を受けて、

「不正をしている塾なんかにウチの子を通わせたくない」

「子どもたちを違法行為に加担させるような塾とは関わりたくない」

とお考えの方は、当塾の方針にご賛同いただけたらと思います。皆様が声を上げることが、不正をせずに一生懸命頑張っている子どもたちが正当な評価を受けるための力に、また、違法行為をしている学習塾の不正を根絶する力になります。必要であれば、当塾がそのような方々の受け皿になることもできます。

 ただし、もし当塾の方針を批判される方、特に

「成績が上がるのであれば、違法行為をしていようが関係ない」

「成績を上げられない塾の妬みだ」

などとお考えの方は、当塾の考えはご理解いただけないと思います。「教育」を行っている当塾では、そのような反教育的なお考えを持つ方の入塾はお断りしていますし、受け皿となることもできません。


 当塾は、責任を持って「教育」を提供し、正しい方法で勉強すること、正しい勉強法を身に付けることにこだわって指導しています。また、講師自身が教育者として相応しくあるために、高い倫理観を持つことを求めています。ここに改めて、当塾では以下のようなことは一切行っていないことそして今後も一切行わないことを宣言します。

 ① 違法行為によって当塾生の成績を上げようとすること。

 ② 当塾講師が、違法であることを知りながら違法行為を行ったり、当塾生を違法行為に加担させたり、当塾生に違法行為を勧めたりすること。

 ③ 違法行為を行っていることを隠し、当塾が優れているように偽ること。